GG通信 1

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ドイツへ来て、半月が済んでしまいました。出発前の超多忙な毎日と比べると雲泥の差を感じます。住まっていところにはTV/新聞無し、電話無しですから、そちらで何が起きているか知るすべがありません。

パソコンは抱えてきましたが、インターネット接続ができないので、ニュースさえ見られまん。数日前にダルムシタットへ出たついでに、インターネットカフェに入ってYahoo japanにつないでみましたが、フォントは全部四角い箱(□□□□・・・)で表されるだけでした。したがって、週に一度、お世話になっている牧師先生のお宅で1週間分のニュースを仕入れ、yahooのメールボックスを開け、送受信するか、古典的な航空便だけが皆様との「つながり」になるのでしょう。こうしてこれからふた月ほど。浮世離れした生活をさせていただくことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このあたりは航空路になるらしく、ひっきりなしに飛んでいます。ちょうど燃料も人も満載でフランクフルト空港を飛び立った飛行機が、エッチラオッチラ上昇して、どうにか雲間に姿を

消すあたり。こんなところに住まいが得られました。Gross-Gerau

という田舎町。観光客無し。

フランクフルト南西25kmほどのところです。フランクフルトから

南、すぐにダルムシュタットと言う中都市があります。そこから

マインツへ行く列車で3駅目が私達のKreis stadt Gross-Gerau

(グロスゲラウ)です。なんともへんてこな名前の町ですが、歩いて

みると戦禍にあわなかったらしく、古びた建物がある静かなたたず

まいです。プラタナスの並木がある広場のベンチに座っていると、

ほんとうにのんびりした気分にひたれます。

木々が色つき、落葉さかん。石畳に降り積もっていて、足先でけと

ばしつつ歩いています。手の入らない昔ながらのたたずまい。

伝統的な木組みの家屋。朽ちそうな門と窓。小さな広場。ここだけ

でもひと月間くらい絵が描けるなぁ〜と思います。

 

 

周囲はアスパラガス畑、森、広大な空き地、そばにはアウトバーンがあって、速度無制限で車がすっ飛んでいます。(フランクフルトとダルムシュタット間のアウトバーンはドイツで最初に

出来たのだそうです。1933年)

橋の上から見ていると怖い。なにより1,000ccちょっとの小型車が150kmくらいで飛ばすんだから、私には恐怖ですね。(後で聞いてみると同じ名前の日本車でも足回り仕様がアウトバーン仕様になっているとのこと)。街はグルっと円形道路に囲まれていて、「グロス(英語でグレートの意味)ゲラウ」と大看板出ています。

私たちが住まっている地区をもうちょっと大きくして、それを円形にしたほどの規模なのですが、大きく出たものです。街の中心部、広場とカフェ。メインストリート(とおぼしき道)には、週日の日中、おじいさん&おばあさんだけでなく、若い人たちも結構います。(仕事しないのか。無いのか)それにトルコ・イラン系の人。北アフリカ系の人、インド系。どこかわからない国の人、スカーフを巻いて小さな子供をつれた女性がたくさんいます。

閉鎖された駅舎。つぶれたスーパーや工場。列車の中には割れた酒瓶がころがり、道路にはゴミ。落書きいっぱい。これがドイツか。こんな光景はこのあたりだけかもしれませんけど。

一方、自転車に乗った通りすがりの小学校高学年(と見える)男の子がにこやかに「こんにちは」と日本語で声をかけてくれるのにびっくり。とつぜんだからオ〜ッ!としか返事できませんでした。

                また「ここに1892年に建てられたユダヤ教会があったが、

                 1938年11月に当時の非人道的政府の命令によって取り壊

                された。 この碑は今を生きる人への警告である。」と

                読み取れる碑文が立つ空き地があって、過去がこんな田舎

                町にまで続いている!と驚かされます。

                (1938年は私が生まれた年)

 

住まいはグロスゲラウ駅から歩いて20分ほど。街を少し離れた住宅街に隣接した「古いアパート」です。初めて見た時、宇治川沿いの宇治市公民館を連想したくらいですから(なんとなく

雰囲気をおわかり願えます?)。そのバス・トイレ・キッチン付きの一室をお借りしました。

わたしたち落ち着いたら遠出するつもりなので、まずはベースキャンプを確保しておこうと

した次第です。45年も昔、所帯を持った頃、6畳と3畳の文化住宅

からスタートだったことを思い出させ、変に懐かしい気分になって

います。老夫婦のママゴト生活に苦笑です。

窓の外には大きな樅の木が十数本あって、梢に月がかかったり、朝

焼けを背景にした光景など風情があります。青空にむかってすっく

とそびえ立つ姿に威厳がありますし、その上を10本もの飛行機雲が

青空を縦横無尽に切り裂いているなど、見た事もない光景にうなっ

たりしています。

昨日までがサマータイムでした。夜が明けるのが遅く(8時でも本当は7時のはず---これで勘が狂う)、夜は食事してあれこれしているうちに10時になるので、寝てしまいます。

テレビも無いので寝ること寝ること。二人ともどうかすると9時間は寝ているのかも知れまん。我ながら呑気なものだとあきれています。

 

つい隣がショッピングセンターです。大きなカートを押しつつ品定め。トマト、キュウリ、

インゲン、野菜とても美味いです。ハム、ソーセージはなんであんなにたくさん種類があるの

だろうと思うくらい。豚と鶏が主。牛肉は霜降りがあると聞くのですが、赤身ばっかり。肉屋へ行って吊るしたのを指差し、このへんを1kgと言わなければならないのか、ベニスの商人だと、恵子と笑っています。

大きなクロワッサンがどこでも89 cであります。始めに食べた店のがあまりに美味いので大感激。あとで他の店のはさほどでもないことがわかり、店によりけりだ。どこも同じことと納得でした。

昨秋、ツアーで通ったドイツの食事のまずさに閉口したのですが、材料を選んでちゃんと調理するとまあまあ。「ドイツのメシはまずい」定評は改訂しなければなりません。

当初、ジャガイモとソーセージばかりじゃイヤだ!と恵子がゴテないかと思っていましたが、この分では大丈夫でしょう。

 

毎日スケッチブックをもって歩いています。あれこれ描いています。夕方部屋に帰ってから、ビール片手に眺め、二人でウンウンうなっています。

私達の旅は始まったばかり。11月からシーズンオフになるので、遠出しようと思っています。今までのように順調では無く、どうしょう!と慌てふためくこともあることでしょう。それも

因果と覚悟して参ります。

勝手なことばかり申し上げ、失礼いたしました。どうぞご容赦ください。みな様のご健康とご

活躍をいのります。

 

 

 

ボッティチェリ